み言葉による備え                  牧師 中田義直

教会の暦では、3月1日から受難節に入っています。カトリック教会や聖公会、ルーテル派など教会暦を重んじる教会では、リタージカルカラー(典礼色)という、教会暦に合わせた「色」を定めています。そして、教会暦に合わせて祭壇にかける布や、礼拝の時に司祭や牧師が首からかけるストラといわれる布の帯にリタージカルカラーが用いられます。受難節の色は「紫」ですから、受難節にカトリック教会などを訪ねると紫の布が祭壇にかけられているのを見ることができるでしょう。また、イエス様の誕生を待つ待降節のリタージカルカラーも紫です。
このリタージカルカラーにはそれぞれ意味があり、紫は「償い、回心、節制、待つこと、死者のための祈り」を表しています。そして、この紫の色が掲げられている期間は、自分自身を顧みる時として過ごすことが勧められます。自分自身の心を省み、日々の歩みを振り返ることを大切にしながら心を整えます。そして、そのようにしてイエス様の誕生と復活を祝うための備えをするのです。
バプテスト教会では教会暦やリタージカルカラーを重視していません。その背景には、信仰が形式的にならないようにという願いがあるのです。そして、私たちは何よりも聖書のみ言葉によって自らを省みます。例えば、教会学校で取り上げる聖書個所も十字架と復活を念頭に置いて選ばれています。み言葉により、心を整えつつ受難節を歩んでまいりましょう。