「違い」をそのままに                牧師 中田義直

昨年から、アメリカ、フランス、そして韓国で新しい国のリーダーが誕生しました。また、イギリスのEU離脱など世界が大きく動いています。 このような動きの中で、民族主義や自国の利益のみを主張するリーダーが選挙で選ばれたり、多くの支持を得るということが起きています。
確かに自民族を大切にすることや、国益優先を否定するのは現実的ではないかもしれません。しかし、そのような現実の中にあっても、神様は全ての民を愛し、救おうとされていることを忘れてはならないでしょう。
新約聖書の使徒言行録には、福音がユダヤ人ばかりでなく異邦人へと伝えられていく様子が記されています。民族を超えて福音が広がっていくこと、それが「神の御心」であると使徒言行録は示しているのです。
二十年程前ですが、私は台湾で開かれたアジアバプテスト大会に参加しました。その時、数千人を収容するコンベンションホールで行われた礼拝で、同じ讃美歌を英語、中国語、韓国語、日本語などいくつもの言語で一緒に讃美するという体験をしました。それは、異なる言語を用いながら、同じ信仰、同じ思いで神様を讃美するという素晴らしい経験でした。
ペンテコステの日、諸国からエルサレムに集まっていた人たちは、それぞれ自分の最も慣れ親しんだ言葉で福音を聞きました。神様は民族や言葉などの違いをそのままにしながら、同じ救いを私たちに与えてくださいました。「違い」をそのままに、神様は等しく愛を注いでくださるのです。