神の御心に従って                  牧師 中田義直

使徒パウロはキリスト教の偉大な伝道者です。新約聖書にはパウロの名による13の手紙が所蔵され、2000年の時を経た現在でも私たちの信仰と教会を導いています。特にパウロの異邦人伝道の働きによって、福音はユダヤ人以外の人々にも届けられました。宗教学的には民族宗教であったユダヤ教から世界宗教となったキリスト教が生まれたのは、パウロの働きによるところが大きいといわれています。福音が民族を超えて広まったのは神様のご計画に他なりませんが、パウロはそのご計画の中で伝道者として召され、大きな働きをしたのは紛れもない事実です。
イエス様に出会う前のパウロはユダヤ教のファリサイ派の一員でした。ファリサイというのは分離するという意味ですから、パウロは異邦人と交わりを避け、純粋なユダヤ教徒として生きることを願っていました。このように、ユダヤ人として自分と異なる「異邦人」を否定していたパウロでしたが復活のイエス様と出会い、異邦人伝道の働きへと導かれました。
パウロが変わったのは、十字架により、神と人との隔ての壁が取り除かれた、ということを知らされたからでしょう。そして、神と人、人と人との間にある「隔ての壁」を取り除くことこそ、神の御心であることを示されたパウロは、病を負いながらも、福音を携えて生涯に三度もの大規模な伝道旅行を行ったのです。