聖書 エレミヤ 31：31～34 宣教題 新しい契約 説教者 中田義直
今日からアドベントです。イエス・キリストの誕生の祝い、クリスマスに向けて準備をする時です。神の御子の誕生を通して、主なる神様は私たち人間との間に全く新しい関係を与えてくださいました。それは、人間が神の民となるためには、努力して自らの力で神様に近づいて行かなければならないという考えや価値観を否定するものでした。イエス様がその生涯を通して教えてくださったこと、それは、神様の本質は「愛」であり、神様は全ての人々に愛と恵みを注いでおられるということでした。
しかし、神様の愛がすべての人に注がれているというイエス様のメッセージを快く思わななった人々がいました。彼らは律法を守ることに努力を惜しまない人々でした。そして、神殿での宗教的な活動を担っていた祭司たちもイエス様の教えを危険な教えだと考えていました。彼らは神様に愛されている人々は、神に愛されるにふさわしい宗教的な正しい生活を送り、神の愛のによってこの世の地位や名誉、富や権力を得ている人と考えていました。そして、貧しい境遇に置かれた人々や、身体の不自由や肉体や精神的な病に苦しんでいる人は、神様に愛されていないと考えていました。この世の不幸は、その人の罪に対する神様の罰だと理解していました。そして、それが神様によって作られたこの世の秩序であると考えていたのです。ですから、罪人にも神様の愛が注がれていること、迷い出た羊を探し出すことを神様は何よりも大切にされるというイエス様の教えは、彼らが大切にしていた秩序を壊すものだったのです。
そして、この世な考え方の背景には、十戒に示されているように、神の民は神様から与えられた律法を守らなければならないという神様との契約がありました。この契約の土台には、神様の私たち人間、神様の被造物への愛がありました。しかし、私たち人間は神様の愛を信じつつも、正しいことを求められる神様の裁き、怒りに心が向いてしまったのです。それほど私たちの心は「恐れ」に支配されやすいということでしょう。
預言者エレミヤはこう記しています。「31:31 見よ、わたしがイスラエルの家、ユダの家と新しい契約を結ぶ日が来る、と主は言われる。31:32 この契約は、かつてわたしが彼らの先祖の手を取ってエジプトの地から導き出したときに結んだものではない。わたしが彼らの主人であったにもかかわらず、彼らはこの契約を破った、と主は言われる。」
契約を守れないイスラエルの民、そして、律法の言葉によって社会的に、またさまざまな弱さを背負っている人への差別が起きる中で、神様は「新しい契約」を結ぶといわれるのです。この言葉の歴史的な背景にはイスラウェルを支配した大国からの解放があると言われています。しかし、そのような歴史的な状況以上に、この言葉の背景には人間の本質的な「罪」を見ることができるでしょう。そして、この言葉は「契約」を破った民を見捨てるのではなく「新しい契約」によって、「契約を破った民」をそれでもなご自身の民とし続けようといている神様の愛と憐れみが示されています。イスラエルの民が契約を破ったのですから、契約を破棄してご自身との関係を断ち切ることも神様の権利でしょう。しかし、神様は関係を断ち切るのではなく「新しい契約」による関係を結んでくださいました。しかも、それは大切な御子イエス様の命をもって私たちのための契約を整えてくださったのです。
エレミヤは続けて語ります。「31:33 しかし、来るべき日に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこれである、と主は言われる。すなわち、わたしの律法を彼らの胸の中に授け、彼らの心にそれを記す。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。31:34 そのとき、人々は隣人どうし、兄弟どうし、「主を知れ」と言って教えることはない。彼らはすべて、小さい者も大きい者もわたしを知るからである、と主は言われる。わたしは彼らの悪を赦し、再び彼らの罪に心を留めることはない。」
私たちの知識を超えて、聖霊が私たちの裡に語りかけ、私たちをイエス・キリストにある救いへと導いてくださる。エレミヤは新しい契約による罪の赦しの到来を予言します。そして、私たちはクリスチャンはイエス・キリストの誕生によって、この救いが到来したことを信じ、喜びをもってイエス様の誕生の祝いの日、クリスマスを待ち望むのです。
ー祈り－
主なる神様、アドベントの主の日、共に礼拝を捧げる幸いに感謝いたします。
主よ、あなたは、あなたとの契約を破り御心にかなうことのできなかった民をそれでもなお愛し、「新しい契約」をもって私たちをあなたの民としてくださいました。あなたは、罪ある者に裁きではなく、赦しの愛と救いの恵みを注いでくださいました。しかし、その愛と恵みを与えてくださるために、独り子イエス様を贖いの小羊として世に遣わしてくださいました。
あなたの愛と恵みに感謝いたします。そして、今日、主の晩餐式を通して私たちはあなたの救いの恵みを新たな思いをもって、感謝して受け止めます。
主よ、私たちをあなたの救いを告げ知らせる器としてお用いください。そして、この地に住む人々に聖霊を注ぎ、あなたを救い主として受け入れる信仰へとお導きください。
この祈りと願い、主イエス様の御名を通して、あなたの御前にお捧げいたします。アーメン
ー聖書－ エレミヤ書31章31節～34節
31:31 見よ、わたしがイスラエルの家、ユダの家と新しい契約を結ぶ日が来る、と主は言われる。31:32 この契約は、かつてわたしが彼らの先祖の手を取ってエジプトの地から導き出したときに結んだものではない。わたしが彼らの主人であったにもかかわらず、彼らはこの契約を破った、と主は言われる。31:33 しかし、来るべき日に、わたしがイスラエルの家と結ぶ契約はこれである、と主は言われる。すなわち、わたしの律法を彼らの胸の中に授け、彼らの心にそれを記す。わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。31:34 そのとき、人々は隣人どうし、兄弟どうし、「主を知れ」と言って教えることはない。彼らはすべて、小さい者も大きい者もわたしを知るからである、と主は言われる。わたしは彼らの悪を赦し、再び彼らの罪に心を留めることはない。
