聖書 詩篇19:1~5 宣教題 神を思う時 説教者 中田義直
先週の日曜日、教会では執事選挙総会を行いました。そして、2018年度から執事の働きを担ってくださる方を選出いたしました。そして、それと共に2018年度の教会主題、また、聖句について協議し、主題として「主イエスに聴き、主イエスに押し出されて」を聖句はローマの信徒への手紙1章16節の御言葉をもって2018年度を歩んでいくことといたしました。
パウロはローマの信徒への手紙10章17節にこう記しました。「10:17 実に、信仰は聞くことにより、しかも、キリストの言葉を聞くことによって始まるのです」。そして、パウロはこの言葉に続けて「10:18 それでは、尋ねよう。彼らは聞いたことがなかったのだろうか。もちろん聞いたのです。「その声は全地に響き渡り、/その言葉は世界の果てにまで及ぶ」のです」と記しています。これは、パウロ自身の経験に基づく言葉といえるでしょう。「その声は全地に響き渡り、/その言葉は世界の果てにまで及ぶ」これは、詩篇の言葉です。ですから、パウロはこの言葉を知っていたでしょう。しかし、言葉というのは知識として知っていても、ただ知っているだけということがあります。「論語読みの論語知らず」という言葉もあるように、人生の知恵をどんなに知っていてもそれが、その人の生き方の中で全く生かされていないということがあるのです。パウロは「信仰は知ることにより、キリストの言葉を知ることによって始まるのです」とは書いていません。また、「信仰は理解することにより、キリストの言葉を理解することによって始まるのです」とも記していません。「知る」でも「理解する」でもなく「聞く」と記しています。
パウロは、律法や予言の言葉をたくさん知っていました。しかし、復活の主イエス様との不思議な出会いを通して、それらの言葉を「私に語りかけられている言葉」として受け止めたのではないでしょうか。あるドイツの著名な聖書学者が「聖書を読むとは、ラブレターを読むことだ」と言いました。そして、「ラブレターを読むように、聖書を読むことが大切だ」と言いました。「ラブレターを読む時、人はそこに書いてある言葉を通して相手の心を受け止めるように読むでしょう。だから、聖書を読む時には書き手の心を受け止めるように読むことが大切です」というのです。パウロはどうしたら律法を守ることができるかということを必死に学んできました。しかし、復活のイエス様に出会ったとき、パウロは律法、そして予言の言葉に込められた「神様の愛」に気づいたのです。律法は神様に愛されるための条件と思っていたパウロは、「キリストの言葉」を通して、律法には「あなたを愛しているよ」という神様の心が込められていたことにパウロは気づいたのです。
自然は時として、恐ろしい牙をむいて私たちに襲い掛かってきます。ですから、人間は自然を神としてまつり、あがめることを通してその怒りを鎮めようとしました。しかし、私たちはその自然を通して多くの恵みを与えられています。自然の恵みがなければ私たちは生きていくことはできません。私たちは自然の恵みによって生かされています。
詩篇の詩人は、自然を神とあがめるのではなく、その向こうにそれを造られた方がおられることを示しています。そして、その方こそ、私たちが礼拝すべき神だというのです。私たちは自分の力で生きているのではなく、恵みによって生かされています。そして、それは神様からの恵みなのです。
私たちは律法の条件を満たすことによって神様との関係を結ぶのではありません。創造主なる神様に気づき、その方の恵みによって生かされていることを知り、恵みへの感謝を表すことそれが私たちの信仰です。愛される条件を満たすのではなく、すでに愛されていることに気づき、その愛を感謝して受け入れることによって、私たちは神の民として歩むことができるということをイエス様はご自身の死と復活を通して教えてくださいました。キリストの言葉、十字架の言葉を通して、私に語りかけられている「お前を愛する。お前は私の民だ」という神様からの愛のメッセージ、喜びの知らせ、福音を信じ、受け止めてまいりましょう。
ー祈り-
主なる神様、こうして共に主の日の礼拝を捧げる幸いに感謝いたします。
主よ、あなたの御子イエス様がその命を通して語りかけてくださった、あなたからの喜びの知らせはすでに私たちに届けられています。あなたは私たちに恵みを与え、救い、神の子としてくださいました。あなたはこのメッセージを、教会を通して、そして、このあなたに造られた世界の様々な出来事を通して語りかけてくださっています。私たちは聖霊の導きにより、この喜びのメッセージを信じ受け入れることができました。しかし主よ、全地に満ちている喜びのメッセージに気づかずに歩んでいる人々が多くいます。主よ、私たちをこのメッセージを証しする器として用いてください。そして、この地に住む人々のため、日々とりなし祈る教会でありますように。主よ御言葉をもって私たちをお導きください。
この祈りと願い、主イエス様の御名を通して、あなたの御前にお捧げいたします。アーメン
―聖書ー 詩篇19篇1節~5節
19:1 【指揮者によって。賛歌。ダビデの詩。】
19:2 天は神の栄光を物語り/大空は御手の業を示す。
19:3 昼は昼に語り伝え/夜は夜に知識を送る。
19:4 話すことも、語ることもなく/声は聞こえなくても
19:5 その響きは全地に/その言葉は世界の果てに向かう。
そこに、神は太陽の幕屋を設けられた。