聖霊の助けをいただいて               牧師 中田義直

ペンテコステの祭りの日、各地からエルサレムに集まっていた人々は不思議な体験をしました。五十日前、過ぎ越しの祭りの日に十字架で殺されたイエスの弟子たちが、堂々と人々に話しかけているのです。
ユダヤのリーダーたちに敵視され、彼らの訴えにより、ローマ総督ピラトはイエスの死刑を許しました。ピラトはイエスの無実を知りながらも、政治的な判断でイエスを死刑にしたのです。この死刑に使われた十字架はローマ帝国に対する反逆者を死刑にするための道具でした。ですから、多くの人々の目に、イエスはローマに対する反逆者と映ったことでしょう。
イエス様が殺されると弟子たちは身を隠しました。ユダヤの指導者からは敵視され、ローマからは反逆者の弟子と見られた彼らは、命の危機に直面する状況の中に置かれていたのです。ところがそのような弟子たちが、人前に出て十字架で殺されたイエスこそ、救い主キリストだと語っているのです。しかも、様々な地方や国の言葉を彼らは用いているのです。
このペンテコステの出来事は、福音伝道の始まりの出来事でした。恐れを超え、言葉に代表される文化の違いを超えて福音は告げ広められたのです。復活により「恐れ」を乗り越えた弟子たちは、聖霊により、人と人との間にある様々な「違い」を乗り越えました。私たちも、恐れと違いを超えて福音を宣べ伝えるために、聖霊の助けを祈り求めてまいりましょう。