忘れないために                   牧師 中田義直

私たちの教会では、毎月第一日曜日に「主の晩餐式」を行います。この大切な礼典は、パウロがコリントの信徒の手紙11章に記しているように「(イエス・キリストの)記念として」行う礼典です。イエス様は私たちに大切なことを忘れることないようにと、主の晩餐式を「私の記念として行いなさい」と命じられたのです。
今年、日本は戦後73年となります。この間も世界では様々な戦争や紛争が繰り返されてきました。しかし、日本が経験した戦争の記憶は薄らいでいます。経験者が少なくなるだけでなく、テレビや新聞といった報道などでもだんだんと日本が経験した戦争が取り上げられなくなってきているといわれています。一方、ドラマやアニメーションなどで戦争の悲惨な現実が語り継がれています。それらは目にすると本当に心が痛み、苦しささえ覚えます。できれば目を背けていたいと思うこともあります。
目を背けたい過去だからこそ、そのようなことを繰り返すことのないように、その出来事を記念し、覚え続けることも大切です。
聖書には過去の歴史が記されています。そこには悲惨な戦争の歴史、民族の失敗と信仰的な過ちも記されているのです。聖書は、過ちと失敗の歴史と向き合うことを大切にしています。過去と向き合うことを通して、未来を切り拓く、それが、聖書の歴史観といえるでしょう。