東方の博士たちのように             牧師 中田義直

今年もあと二週間です。先日、この一年をあらわす「漢字」が発表されました。日本漢字能力検定協会がアンケートなどをもとに選定された今年の漢字は「金」でした。選定の理由として、リオオリンピックで日本が多くの金メダルを獲得したことなどが良い面として示された一方で、前都知事の政治資金問題といったマイナスの理由も挙げられていました。
「金」は価値あるものです。しかし、それは良いことにその価値が用いられるだけでなく、悪いことにも使われてしまいます。二千年前、東方の占星術の博士たちは救い主の誕生を祝うために「金」を捧げました。黄金は王位の象徴であり、新しい王の誕生を祝うために博士たちは「金」を捧げたと言われています。また、伝承によれば、幼いイエス様がヘロデ王の迫害から逃れるために両親と共にエジプトに身を寄せた時の生活費としてこの黄金が用いられたと言われています。神様の御子の誕生を祝うためにそして、神様の計画が成就するために「金」が用いられました。
「金」のように価値あるものは様々です。しかし、「金」のように価値があるから「良い」とは限らないのです。時にはその価値が人の心を誘惑し、罪を犯させます。価値あるものを得るために他者を傷つけます。
東方の占星術の博士たちのように、価値あるものを神様の計画のために用いる者となりたいと、祈り、願うのです。