聖書 エフェソ 1:3~7   宣教題 神の恵みによって  説教者 中田義直

新年度が始まりました。「週報」の巻頭言にも記させていただきましたがこの4月から第一日曜日の説教では「教会の約束」の言葉を手掛かりに、み言葉を通して私たちの信仰の確認をしていきたいと思うのです。

ところで、十字架の形、縦の棒と横の棒が示している縦横の関係は私たちにとって大切な二つの関係にたとえることができるのです。それは、縦の線が示す神様と人との関係、そして、横の棒が示す人と人との関係です。モーセの十戒も前半は神様との関係、後半は人と人との関係に関する戒めです。またイエス様が教えてくださった、最も大切な掟は、神を愛せよという神様との関係と、同じように大事な第二の掟は隣人を自分のように愛せよという人と人との関係に関する掟です。そして、イエス様は「(神の)御心を行うものが私の親兄弟である」と言われたように、信仰による関係を人間の最も基本的な家族という関係になぞらえているのです。

また、パウロは教会をキリストの体に譬えました。そして、パウロは教会という交わりの中で起きる多くの問題に悩まされながらも、常に教会という交わりを大切にしてきました。そして、教会は様々な在り方で歴史を重ねてきました。何よりも聖書の言葉と向き合いながら、そして、政治や経済といった様々な社会の状況との関係の中で、時には対立し、時には影響を受けたり翻弄されながら、教会は神様に忠実であろうと願って様々な「あり方」で立つことを決断し、また、試みながら歴史を重ねてきました。そして、様々な教派が生まれてきたのです。

バプテスト教会は教職者や聖職者といった立場の人だけでなく、信徒が皆で教会の働きを担おうという決意をもって生まれました。そして、そのことを具体的に示すために信徒が互いに教会の働きを担っていくという約束をすることを大切にしました。「教会の約束」にはそのような背景があるのです。

ここで、忘れてならないことがあります。それは、私たちに与えられた救いは神様からの一方的な恵みだということです。私たちが約束を結ぶこと、私たちが信仰の決断をするのは「救ってくださった神様の恵み」に対する感謝の応答です。

エフェソの信徒への手紙の1章に記されているように、神様は私たちを愛し、神の子としようとしてイエス様をお送りくださいました。私たちが、神様との関係を結ぶことができたのは、神様の恵みです。ですから、私たちの信仰はその恵みをただ感謝して「ありがとうございます」と言って受け取ることなのです。しかし、人間は他者に対して素直に感謝することができない弱さを持っています。それは、プライドであり、人に弱みを見せまいという「驕り」という弱さです。強がるという弱さ、人が自分より高く評価されることに対する嫉妬、遜ることのできない「弱さ」です。そして、この弱さゆえに私たちは、感謝の心を忘れてしまいます。そして、この「弱さ」によって私たちはイエス様を十字架につけてしまったのです。プライド、驕り、嫉妬、様々な感情の渦巻く中で私たちはイエス様に向かって「十字架につけろ」と叫ぶのです。しかし、そのような私たちのためにイエス様は執成し、祈ってくださるのです。

「1:3 わたしたちの主イエス・キリストの父である神は、ほめたたえられますように。神は、わたしたちをキリストにおいて、天のあらゆる霊的な祝福で満たしてくださいました。
1:4 天地創造の前に、神はわたしたちを愛して、御自分の前で聖なる者、汚れのない者にしようと、キリストにおいてお選びになりました。1:5 イエス・キリストによって神の子にしようと、御心のままに前もってお定めになったのです。1:6 神がその愛する御子によって与えてくださった輝かしい恵みを、わたしたちがたたえるためです。1:7 わたしたちはこの御子において、その血によって贖われ、罪を赦されました。これは、神の豊かな恵みによるものです。」

この神の豊かな恵みを、感謝して受け止めてまいりましょう。

 

ー祈り-

主なる神様、あなたに呼び集められ、共に主の日の礼拝を捧げる幸いに感謝いたします。

主よ、あなたは罪深い私たちをゆるし、神の子とするためにイエス様をお遣わし下さいました。イエス様の血によって、私たちは贖われ、神の子とされました。

私たちはこの愛を受け入れます。そして、恵への感謝の心を込めて共に教会で神様の働きを担ってまいります。主よ、私たちの弱さを憐れみ、助け主なる聖霊をお送りください。主に仕え、福音を伝えることができるよう、私たちを導き主に仕える力をお与えください。

この祈りと願い、主イエス様の御名を通して、あなたの御前にお捧げいたします。アーメン
ー聖書ー

エフェソの信徒への手紙 1:3~7

1:3 わたしたちの主イエス・キリストの父である神は、ほめたたえられますように。神は、わたしたちをキリストにおいて、天のあらゆる霊的な祝福で満たしてくださいました。1:4 天地創造の前に、神はわたしたちを愛して、御自分の前で聖なる者、汚れのない者にしようと、キリストにおいてお選びになりました。1:5 イエス・キリストによって神の子にしようと、御心のままに前もってお定めになったのです。1:6 神がその愛する御子によって与えてくださった輝かしい恵みを、わたしたちがたたえるためです。1:7 わたしたちはこの御子において、その血によって贖われ、罪を赦されました。これは、神の豊かな恵みによるものです。