剣を鋤(すき)に、槍を鎌に 牧師 中田義直
イエス様は「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイ5:9)と言われました。この平和という言葉は、ギリシャ語でエイレーネーです。これはヘブル語のシャロームにあたります。そして、エイレーネーもシャロームも戦争のない状態を言うだけでなく、一人一人の心が平安である状態を示しています。また、暗闇から愛の支配へと導かれる「救い」をあらわしています。
「ヨハネの手紙」を記した教会の指導者、長老ヨハネは「 愛には恐れがない。完全な愛は恐れを締め出します。なぜなら、恐れは罰を伴い、恐れる者には愛が全うされていないからです」(Ⅰヨハネ4:18)と記しています。私たちは恐れます。様々な恐れがありますが、恐れの一つは「私の敵」への「恐れ」です。そして、恐れるからこそ、攻撃的なな言葉を発したり、声を荒げます。恐れるから武器を手にします。日用品である包丁やナイフも「恐れ」や「怒りの心」によって、武器へと変わります。
恐れを取り除く「愛」が私たちの心を支配するならば、私たちは武器を捨てることができるでしょう。イザヤ書2章4節に「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない」と記されているように、愛なる神様の支配の中で「恐れ」から解放された人々は、武器を捨て、命を養うための道具を手に取るのです。